うつ病|思春期から晩年によって心の波が違う?年齢や性別によるうつ病の症状について

うつ病|思春期から晩年によって心の波が違う?年齢や性別によるうつ病の症状について

女性と男性の性別によって、うつ病の表情に違いがあると思いますか?
実は、思春期から老年期にわたりうつ病は発症されていますが、性別や年齢によって異なる特徴や症状があります。

この記事はうつ病について、性別や年齢別それぞれの対処法についてわかりやすく解説します。

女性のうつ病の特徴

思春期「女の子」のうつ病|娘の心の変化を見逃さないために

うつ病

思春期は、心と体が大きく変化する時期であり、 月経前症候群や体型の変化、進路や人間関係の悩みなどから、うつ病になりやすい時期です。

<思春期「女の子」のうつ病:主な症状>

●気分の落ち込み
●イライラ
●集中力の低下
●不眠
●食欲の変化
●自殺念慮

<思春期にうつ病発症したお子さんの保護者へのアドバイス>

うつ病

1)共感を示す

娘さんの話をよく聞き、共感を示すことが重要です。
娘さんの話を遮ったり、否定したりせず、「そうだったのね」「それは大変だったね」など、共感の言葉をかけながら、ただ話を聞いてあげるだけでも、娘さんは安心感を得ることができます。
娘さんの気持ちに寄り添い、理解しようという気持ちで娘さんの話を最後までしっかり聞きましょう。

2)娘さんのペースに合わせる

娘さんが話したいときに話を聞いてあげることが大切です。
娘さんが話したがらないときは、無理に話を聞き出そうとしません。
そっとしておき、娘さんが話したくなるまでゆっくり待ってみましょう。

3)必要なときに専門家に相談する

娘さんの話を聞いても、どのように対応していいのかわからない場合は、専門家に相談することを検討しましょう。
専門家から客観的なアドバイスをもらうことで、娘さんと向き合いやすくなることがあります。

学校のスクールカウンセラーや、児童相談所などの相談窓口があります。
一人で抱え込まず、必要に応じて周囲の助けを借りましょう。

4)その他、娘と話す際に役立つポイント

娘さんのことを尊重し、ありのままの娘を受け入れることが大切です。
娘さんと一緒に楽しい時間を過ごすのもいいでしょう。

娘さんと良好な関係を築くためには、時間と忍耐が必要です。
娘さんとしっかりと向き合い、コミュニケーションを図ることで、娘さんは安心して何でも話せるようになり、親子の絆が深まることでしょう。

妊娠・出産・子育て中のうつ病|不安と向き合う

妊娠・出産・子育て中は、ホルモンバランスの変化や育児ストレス、孤立感などから、うつ病のリスクが高まります。
妊娠中に現れるうつ状態は「マタニティ・ブルー」と呼ばれ、出産後も「産後うつ病」や「授乳期のうつ病」に発展する可能性があります。

妊娠期のうつ病とマタニティ・ブルー

うつ病

妊娠中に現れる一過性のうつ状態です。
多くの場合、出産後数週間で自然に改善します。

<妊娠期うつ病:主な症状>

●気分の落ち込み
●涙もろさ
●不安
●集中力の低下

<妊娠期のうつ病とマタニティ・ブルーの対処法>

1)十分な睡眠と休息をとる

睡眠不足は、うつ病やマタニティブルーの症状を悪化させる要因となります。
妊娠中は、昼間に日光を浴びたり、適度な運動を取り入れ、夜はゆっくりと睡眠をとるようにしましょう。

2)バランスのとれた食事を心がける

栄養不足も、うつ病やマタニティブルーの症状を悪化させる要因となります。
妊娠中は、葉酸や鉄分など、必要な栄養素をバランス良く摂取することが大切です。
水分をこまめに補給するようにしましょう。

3)適度な運動をする

運動は、ストレス解消や気分転換に効果があります。
妊娠中は、ウォーキングやマタニティヨガなど、無理のない範囲で運動を取り入れましょう。
運動をする前に必ず医師に相談し、体調が悪い場合は無理をせず休んでください。

4)家族や友人と話す

一人で抱え込まず、家族や友人に自分の気持ちを正直に話して聞いてもらうことで、気持ちが楽になることがあります。
具体的に症状を伝えてみましょう。
困っていることがあれば、遠慮なく助けを求めましょう。

5)必要に応じて、医療機関を受診する

妊娠期は、心身ともにデリケートな時期です。
少しでも体調や気分に異変を感じたら、一人で抱え込まず、周囲の人に相談したり、医療機関を受診したりすることが大切です。

産婦人科や精神科で、専門医によるカウンセリングや診断と治療を受けることができます。

産後うつ病・授乳期のうつ病

うつ病

産後うつ病は、出産後数週間~数ヶ月以内に現れるうつ病です。
出産後の女性が約10人に1人の割合で発症する病気です。

症状としては、強い憂うつ感、不安感、睡眠障害、食欲不振などがあります。
産後うつ病は、マタニティ・ブルーとは異なり、適切な治療を受けないと悪化したり、長引いたりする可能性があります。

<産後うつ病:主な症状>

●気分の落ち込み
●無気力
●不安
●集中力の低下
●睡眠障害
●食欲の変化
●育児への無関心
●自殺念慮

<産後うつ病・授乳期のうつ病:対処法>

1)周囲の人に助けを求める

一人で抱え込まず、周囲の人に助けを求めることが大切です。
パートナーや家族、友人など、信頼できる人に自分の気持ちを話しましょう。

産婦人科医:には出産後の定期検診の際に、産婦人科医に相談するといいですね。
市区町村の保健センターには、保健師に産後うつ病の相談窓口があります。
母子相談所でも、産後うつ病の相談や支援を受けることができます。

2)医療機関を受診する

産後うつ病の症状が改善しない場合は、医療機関を受診しましょう。
治療法としては抗うつ薬などの薬を用いる「薬物療法」、認知行動療法や対人関係療法などの「心理療法」を用いて、考え方のゆがみなどを改善し、ストレスに対処する力を身につける心理療法があります。

3)カウンセリングを受ける

一人ひとりの状況に合わせて、専門家が話を聞いてくれる個人カウンセラーや同じ悩みを持つ人たちと交流することで、孤独感を軽減することができるグループカウンセリングがあります。。

4)育児支援サービスを利用する

乳幼児を一時的に預けることができる「一時預かり」やヘルパーが自宅に訪問し、家事や育児を手伝ってくれる「訪問型サービス」などがあり、市区町村の窓口やインターネットで情報収集することができます。

<授乳期のうつ病:治療>

うつ病

授乳中でも、多くの抗うつ薬は服用可能です。
しかし、すべての薬が安全とは限らないため、医師と相談しながら治療を進めることが大切です。

男性のうつ病の特徴

思春期「男の子」のうつ病

うつ病

思春期の男の子は、大人になるための様々な変化に直面し、心身ともに大きなストレスを感じやすい時期です。
学業や友人関係、家族関係などの悩みを抱え、うつ病を発症するリスクが高くなります。

<思春期「男の子」のうつ病:主な特徴>

●イライラや攻撃的な行動が目立つ
●学校に行きたがらなくなる
●集中力が低下する
●睡眠障害や食欲不振がある
●自尊心が低下し、自己否定的な考えになる
●死について考える

<思春期の男の子のうつ病:注意点>

思春期の男の子は、うつ病の症状を隠したり、我慢したりすることが多いため、周囲が気づきにくいことがあります。
以下のような点に注意して、子どもの様子を観察することが大切です。

□いつもと様子が違う
□以前は楽しんでいたことをしなくなった
□理由もなく泣いたり、怒ったりする
□体調が悪いことが多い

これらのサインが見られたら、無理に話を聞き出そうとせず、優しく寄り添い、専門家に相談することを検討しましょう。

父親も苦しむ?男性特有のうつ病

うつ病

男性のうつ病は、女性のうつ病とは異なる特徴があります。

<男性のうつ病:特徴>

●抑うつ気分よりも、イライラや不安などの症状が目立つ
●身体症状(頭痛、倦怠感、便秘など)を訴えることが多い
●アルコールや薬物乱用に走る
●ギャンブルや性行為などの危険な行為に手を染める
●仕事や家事などの責任感から、症状を我慢する

男性は、うつ病の症状を弱さの表れと捉え、助けを求めることをためらう傾向があります。
しかし、うつ病は適切な治療によって改善することができる病気です。

<男性のうつ病:危険因子>
    
□仕事や人間関係などのストレス
□経済的な困窮
□慢性疾患
□アルコールや薬物の乱用
□家族にうつ病の患者がいる

これらの危険因子がある場合は、うつ病を発症するリスクが高くなります。
日頃から自分の心身の健康に注意し、必要であれば早めに専門家に相談することが大切です。

親のうつ病、子どもにどんな影響がある?

うつ病

親がうつ病の場合、子どもは情緒不安定になったり、自己肯定感が低くなったりするなど、様々な影響を受ける可能性があります。
しかし、適切なサポートがあれば、子どもはうつ病の影響を乗り越え、健やかに成長することができます。

高齢の親のうつ病が心配!見逃せないサインと治療

うつ病

高齢者のうつ病は、身体症状を伴ったり、認知症と間違われたりするなど、若い世代とは異なる特徴があります。
早期発見・早期治療が重要ですが、高齢者自身がうつ病であることに気づきにくい場合もあります。
家族や周りの人が、高齢者の様子に注意し、異変を感じたら医療機関を受診することが大切です。

高齢者のうつ病は、以下のような特徴があります。

<高齢者のうつ病:特徴>

●抑うつ気分よりも、不安や身体症状が目立つ
●周囲への訴えが少なく、理解されにくい
●認知機能の低下と混同されやすい
●自殺のリスクが高い

高齢者のうつ病:初期症状

高齢者のうつ病は、初期症状がわかりにくいことがあり、発見が遅れることがあります。
以下のような初期症状に注意しましょう。

□気分の落ち込み
□不安や心配
□イライラ
□不眠
□食欲不振
□頭痛や倦怠感
□集中力の低下
□物忘れ
□意欲の低下
□孤独感
□死への恐怖

これらの症状は、加齢による変化と混同されやすく、うつ病と気づかれにくいことがあります。
2週間以上続く場合は、うつ病の可能性があります。

高齢者のうつ病:割合

高齢者のうつ病は、決して珍しい病気ではありません。
厚生労働省の調査によると、65歳以上の高齢者のうち、約10人に1人がうつ状態にあると推定されています。

高齢者のうつ病:原因

高齢者のうつ病の原因はさまざまです。

●脳の老化
●身体疾患
●社会的孤立
●喪失体験
●経済的な困窮
●薬物の副作用

加齢による脳の老化は、うつ病の発症リスクを高める要因の一つです。
また、脳卒中や心筋梗塞などの身体疾患、配偶者や友人との死別などの喪失体験、社会とのつながりが希薄になることによる社会的孤立、経済的な困窮なども、うつ病の発症リスクを高めます。

高齢者のうつ病と認知症の違い

うつ病

高齢者の場合、うつ病と認知症の症状が似ていることがあり、区別が難しいことがあります。
しかし、以下の点に注意することで、ある程度区別することができます。

うつ病認知症
認知機能軽度または中等度の障害重度の障害
短期記憶障害される著しく障害される
見当識障害される著しく障害される
判断力障害される著しく障害される
問題解決能力障害される著しく障害される
人格の変化比較的少ない著しい

うつ病は適切な治療によって改善することが期待できますが、認知症は進行性の病気です。
正しい診断を受けるために、医療機関を受診することが重要です。

治療が難しい?老年期のうつ病

高齢になってから発症の場合

うつ病

高齢になってから発症したうつ病は、若い世代のうつ病よりも、治療が難しい場合があります。
その理由は、以下の通りです。

<治療が難しい高齢者のうつ病>
   
●身体疾患を併発していることが多い
●薬の副作用が出やすい
●認知機能の低下がある
●社会的孤立が進んでいる

高齢者の場合、うつ病の治療だけでなく、身体疾患の治療や認知機能の維持訓練、社会とのつながりを回復するための支援なども必要になります。

若いころに発症し、再発ケースの場合

うつ病

若いころにうつ病を発症し、その後寛解していた人が、高齢になって再びうつ病を発症するケースもあります。
この場合、若いころと同じ治療法が有効とは限りません。
高齢者のうつ病の特徴を理解した上で、適切な治療を行うことが大切です。

専門医への相談

高齢者のうつ病は、適切な治療によって改善することができます。
親御さんの様子が気になる場合は、早めに医療機関を受診し、専門医に相談することが大切です。

まとめ:それぞれの「うつ病」と向き合う

うつ病

うつ病は、誰でも発症する可能性のある病気です。
しかし、年齢や性別によって、症状の出方が異なることがあります。

思春期の子供は、うつ病の症状を隠したり、我慢したりすることが多いため、周囲が気づきにくいことがあります。
学校に行きたがらくなったり、集中力が低下や睡眠障害・食欲不振、自己否定的な考えになる等、いつもと様子が違う時は注意が必要です。
お子さんの様子をよく観察することが大切です。

一方、大人のうつ病は男性と女性では、うつ病の症状の出方が異なることがあります。
男性はイライラや攻撃的な行動が目立ったり、アルコールや薬物乱用に走るケースがあります。

女性は抑うつ気分、無気力、楽しみの減退などの症状が強く、涙もろくなる場合が多いようです。
思春期のうつ病とは異なり、身体症状(頭痛、倦怠感、便秘など)を訴えることが多いのも特徴です。
仕事や家事などの責任感から症状を我慢する方も多いので、一人で抱え込まず周囲の人に助けを求めることが大切です。

高齢者の場合、うつ病と認知症の症状が似ていることがあり、区別が難しいことがあります。

現在、うつ病の治療は薬物療法や心理療法など、様々な方法があります。
年齢や性別によって合った治療法を見つけることが、回復への第一歩です。
心身の不調を感じたり気になる場合は、早めに医療機関を受診し、専門医に相談しましょう。